顔が見えるたまご。まごころたまごの秘密

おいしさの秘密は鶏の腸活!?

まごころたまごを産んでくれる親鶏たちは、腸内環境を整える「腸活」をしています。

善玉菌を増やす特製飼料(※1)を食べることで、腸内の細菌の集団(腸内フローラともいう)が改善され、腸からしっかりと栄養を吸収できるようになります。

そのおかげで、親鶏が健康になり、栄養たっぷりでおいしいまごころたまごを産むことができるのです。

※1

特製飼料とは、栄養バランスの整った基本飼料に、海産資源(小エビ、小カニ、小魚など)を高温で発酵させたものを加えた、まごころたまごの親鶏専用のごはんです。

この発酵飼料に含まれるバクテリア(好熱性微生物)が親鶏に「良い効果」を与えるわけですが、これらの成果は特許として認められているんです

鶏の腸活で地球温暖化を防止!?

特製飼料の効能は親鶏の健康だけにとどまりません。

なんと地球環境にも優しいのです。

① 鶏から温暖化ガスが出ない!?

 牛のげっぷに温暖化ガスの一つのメタンが含まれているというのはよく聞きますが、牛に比べるとわずかですが、実は鶏からも温暖化ガスが発生します。

しかし、特製飼料を食べている親鶏の腸内には、メタンガスを発生させる腸内細菌がほとんどいない(※2)ことがわかりました。

※2

家畜のげっぷやおならに含まれている温暖化ガスは、家畜の消化管に存在するメタンガス産生菌によって作られます。その菌が多ければ多いほど、作られる温暖化ガスも増えていくことになります。

菌の多い少ないは、家畜が排泄したふんを調べるとわかるのですが、まごころたまごの親鶏たちの排泄ふんの中にはほとんどメタンガス産生菌が検出されておらず、温暖化ガスの発生を抑制できていると考えられています。

② たい肥を作るときに温暖化ガスが出ない!?

家畜のふんには窒素やリン、カリウムなどの植物に必要な栄養素が含まれており、肥料としてとても有効です。肥料として使うために、空気を好む微生物にふんを発酵させてたい肥化するのですが、通常その際に温暖化ガスが発生してしまいます。

ところが、特製飼料を食べている親鶏のふんは、たい肥化する際の温暖化ガスが発生しにくい(※3)ことがわかってきました。

※3

ふんに含まれる窒素の一部は、腸内で消化する際やたい肥化される際に、温暖化ガスの一つの一酸化二窒素に変化し、空気中に出て行ってしまいます。まごころたまごの親鶏のふんとそのふんから作られるたい肥に含まれる窒素濃度を調べると、たい肥化した後も窒素濃度が高値で安定しています。

つまり、たい肥発酵の過程で、一酸化二窒素の発生がほとんど発生していないことを示します。

③ まごころたまごのたい肥をまくと、農地から温暖化ガスが出にくくなる!?

水田や農地からも温暖化ガスが発生していることはご存じでしょうか。土壌の呼吸や微生物の働きにより、普通に農作物を育てていても温暖化ガスが発生してしまいます。

温暖化ガスの一つのメタンガスは、未熟たい肥の使用によって発生しやすくなります。また、同じく温暖化ガスの一つの一酸化二窒素は、未熟たい肥や乾燥しただけで発酵できていないたい肥、化学肥料などで投入される窒素の量が多いほど、発生量が多くなります。

ところが、まごころたまごのたい肥をまいた農地では、化学肥料を用いた農地と比べると、温暖化ガスの発生量が低減された(※4)ことがわかりました。

さらに、まごころたまごのたい肥をまくことで土壌の微生物が活性化し、空気中の窒素ガスを有効利用できるようになるため、化学肥料に頼らず栄養たっぷりの作物を育てることができます。

※4

まごころたまごのたい肥は、カビに対する静菌作用があり、温暖化ガスを発生させる土壌中のカビの発生を制御することが期待されます。カビの発生の制御については独自の方法で解析しています。

安心・安全でおいしいたまご、というだけでなく環境にも優しいたまごを作るというのは、本当に大変なことです。たまごの品質や収量を維持しながら、環境への配慮のために普段の生産技術を見直していく必要があります。

おいしいたまごを安定して作ること、抗生物質を使わないでも親鶏が健康でいられること、化学肥料に頼らずともまごころたまごのたい肥だけで栄養たっぷりの作物が収穫できること、これらを20年以上ずっと継続していること、どれもが一朝一夕にできることではありません。すべてはまごころたまごの生産現場の方々の、長年の努力のたまものです。

私たち顔が見える食品。は、そんな生産者さんたちとお客様みんなをつなぐお手伝いが出来たらと思っています。

 

地球環境にも、「まごころ」を。

顔が見える食品。はこれからも、未来ある農業を目指して、生産者とともに歩んでいきます。

<さらに詳しく知りたい方へ>

関連する研究のプレスリリースや共同研究先の学術論文を記載しております。

●特製飼料に含まれる好熱性発酵物について

特許第5578375号

●家畜由来の温暖化ガスの発生抑制について
●持続可能な農業のためのたい肥と土壌と作物の関係について

学術論文

Journalof Applied Microbiology 132, 3870-3882 (2022) Article DOI: 10.1111/jam.15519

ScientificReports 13, 6359 (2023) Article DOI: 10.1038/s41598-023-33444-0

ISMECommunications 3, 28 (2023) Article DOI: 10.1038/s43705-023-00233-9

Scienceof the Total Environment 836, 155520 (2022) Article DOI:10.1016/J.SCITOTENV.2022.155520